【令和4年12月県議会一般質問全文】

(堀之内)
まず、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
令和四年も残すところあと一月を切りました。この一年は、新型コロナの蔓延に加え、国際情勢が私たちの生活を大きく変えた年でもあったように思います。
今年二月二十四日、ロシアのプーチン大統領がウクライナでの軍事作戦を開始するという、あってはならないことが起きました。
ロシアのウクライナ侵攻は、私たちの生活にも深刻な影響を及ぼしております。原油・天然ガス価格上昇によるエネルギー価格の高騰に加え、世界の供給量の二九%を占める小麦やトウモロコシなどの穀物をはじめとした食料価格の急騰を招いております。また、アルミニウムやセメントなどの多くの原材料が、経済制裁でロシアからの輸出が困難となっており、新型コロナからの経済回復による需要増加と併せ、値上がりが続いております。特に、住宅用の木材が不足するウッドショックが深刻で、我が国では円安傾向と重なって住宅価格に大きな影響を及ぼしております。
また、我が国とロシアの関係では避けて通れないのが、北方領土の問題でございます。
ロシアのウクライナ侵攻から約二週間後の三月九日、プーチン大統領は、ロシアが不法占拠している北方領土を含むクリル諸島に進出する国内外の進出企業を対象に、所得税などの各種税金を原則的に二十年間免除する法案に署名し、発効させました。
我が国は、この法案に対し、北方領土での共同経済活動を目指すとした日露合意に反し、事実上の経済特区として企業を誘致し、ロシアの実効支配をさらに強めるものだとして抗議してきましたが、ロシアは、日本が対ロシア制裁を発動したことに反発し、署名の二日前には、自国通貨ルーブルによる外貨建て債務の返済を認める非友好国のリストに日本を含めました。
こうしてロシアのウクライナ侵攻は、日露関係のさらなる悪化を招き、従来からの懸案にも深い影を落としております。
他方、中国に目を転じますと、台湾周辺や我が国の領土である尖閣諸島近海での不穏な動きが続いております。
昨年四月十六日、アメリカのバイデン大統領と当時の菅総理大臣は、日米首脳共同声明を発表いたしました。中国側は、この声明に対し、内政干渉だとして強い不満と断固反対を表明いたしました。一方、閣僚などからは、台湾有事は日本有事、他人事ではないとの談話や見解も示され、台湾外交部も、日台関係は友好的かつ密接であり、日本は基本的価値観も共有している重要なパートナーであると位置づけいたしております。
七月から九月にかけて民間NPOなどが日中両国で実施した世論調査によりますと、台湾海峡で軍事紛争が将来的に起きると考える国民が、中国では五六・七%、日本では四四・五%であります。
それを裏づけるように、アメリカ国防総省が先月二十九日発表した年次報告書によりますと、中国軍が二〇二七年には台湾統一を追求するために信頼できる軍事手段を確保する見通しであり、二〇三五年までには約千五百発の核弾頭を保有する可能性があるとされ、台湾有事はいつ起きてもおかしくない段階に来ていると言えます。
また、尖閣諸島をめぐっても、平成二十四年九月十一日に魚釣島、北小島、南小島の三島を国有化して以来、中国公船の領海侵入は常態化しており、先月二十五日にも中国海警局の艦艇四隻が相次いで侵入し、そのうち一隻は今までにない七十六ミリ砲を搭載していると報じられました。
このように中国との間には、直接的にも間接的にも一触即発と言うべき緊張関係にあり、東シナ海を挟んで中国と向き合う本県にとりまして、決して枕を高くして眠ることができない状態だと言わざるを得ません。
さらに、ロシア、中国と国境を接する北朝鮮の動向も我が国の安全保障を論ずる上で避けては通れません。
今年に入り、北朝鮮は、弾道ミサイルや巡航ミサイル、ロケット弾などの飛翔体を五十発以上発射、九月二十八日には年間の発射数最多を更新し、十月四日午前七時二十二分頃発射された新型地対地中長距離弾道ミサイルは、日本の上空を飛翔し太平洋上の排他的経済水域外に落下、飛翔距離は過去最長の約四千六百キロメートル、最高高度は約千キロメートルであったとされております。このときはJアラートも発令され、北海道新幹線が一時運転を見合わせるなどの交通への影響もありました。
防衛省は、北朝鮮の核、ミサイル能力に関し、一連の開発・発射の背景には、体制の維持・存続のため、核や長射程弾道ミサイルの保有による核抑止力の保有に加え、韓国軍や米軍との間に発生し得る、通常戦力や戦術核を用いた武力紛争においても対応可能な手段を獲得し、あらゆる段階で状況を主導的に管理するという戦略がある可能性があると認識し、こうした軍事動向は、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であり、地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものだと強く警戒しています。
このような近隣諸国の動向が私たちの平和な日常を奪いかねない状況の下、西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練移転と自衛隊基地整備計画に関し、先月二十九日の今定例会初日に、知事は、「総合的に検討した結果、県として理解せざるを得ない」と容認する考えを初めて表明されました。知事が西之表市長に先んじて明確に表明されたことは高く評価したいと思います。
そこでまず、防衛・安全保障政策が国の専管事項であることは重々承知しておりますが、ロシア、中国及び北朝鮮という諸外国の脅威についてどのように認識されておられるのか、知事の考えをお示しいただきたいと思います。
また、私たちの日常がこうした脅威と背中合わせにある現状で、諸外国に比べると国民の危機意識は希薄であるように私の目には映るのでございますが、知事はどのように思っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
最後に、最近、返還をめぐる動きが止まっていると言わざるを得ない北方領土をめぐる現状につきまして、知事はどのように見ておられるのか、見解をお示しいただきたいと思います。
次に、世界平和統一家庭連合、旧統一教会をめぐる問題に関してお伺いいたします。
七月八日に安倍元首相が凶弾に倒れました。逮捕された容疑者は事件後の取調べで、母親が旧統一教会に入信したことで家庭生活が破綻、当該団体への恨みを募らせたことが元首相銃撃につながった旨の供述をしたことから、旧統一教会に関する様々な問題がクローズアップされることとなりました。
政府は今月一日に、旧統一教会の問題をめぐる被害者救済新法案を持ち回り閣議で決定し、国会に提出。さきに提出された消費者契約法と国民生活センター法の改正案とともに、今国会での成立を目指すとしております。
新法案の骨子として、寄附勧誘における法人の配慮義務の明文化、霊感で不安に付け込むなど禁止行為を規定、子や配偶者による取消しや返還請求を可能にするなどとされておりますが、マインドコントロール下での寄附が禁止行為や罰則対象となっていないことなどに批判もあり、法案修正をめぐって議論が今なされているものと思います。
そこで、まず第一点として、県消費生活センターにおける霊感商法に関する相談件数がどのくらい上がっているのか、お伺いさせていただきたいと思います。
そして、宗教法人の解散命令並びに被害者救済新法案について、国会で現在審議中でございますが、この問題や審議の状況について知事はどのように認識されておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

(知事)
我が国を取り巻く安全保障環境についてでございます。
ロシアによるウクライナ侵略や、中国による台湾周辺での大規模な軍事演習、北朝鮮による度重なるミサイル発射など、安全保障環境が一段と厳しさを増す中にあって、我が国の安全と平和を守るためには、必要最小限の防衛力を整備するとともに、アメリカとの安全保障体制により我が国の安全を確保することは、基本的に必要なことであると考えております。
本県は、南西諸島に多くの離島を有しており、軍事衝突の危機をめぐる問題については、政府において、外交努力により平和的な解決が図られるよう努めていただく必要があると考えております。
外務省が、本年四月に公表した外交に関する国内世論調査の結果によると、「東アジア地域を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増していると考えるか」との問いに対し、「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えた人が八八%となり、前年度の八二・四%を上回っております。
ロシアによるウクライナ侵略については、連日報道がなされ、北朝鮮によるミサイル発射については、本年十月、十一月に、五年ぶりとなるJアラートによる情報伝達がなされたところであります。
このような状況から、国民の危機意識は高まってきているのではないかと考えております。
次に、北方領土問題についてでございます。
北方領土の返還については、国民的課題であり、日本国民の長年の悲願でもあります。
これまで、政府において、粘り強くロシアとの外交交渉に取り組んできており、本県においても、県、市長会、町村会、民間団体等で構成する北方領土返還要求運動鹿児島県民会議が中心となり、返還要求運動を行ってまいりました。
しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻後の本年三月、ロシアが平和条約交渉を継続しないなどの措置を発表、また、九月には、四島交流及び自由訪問に係る合意の効力を停止する旨を発表するなど、日露間の外交関係は厳しさを増しております。
私としては、ウクライナの平和と安定はもちろんのこと、日本国民の長年の悲願でもある北方領土返還実現のためにも、即時にロシア軍が撤退することにより戦争が終結し、日露間の外交交渉が一日も早く正常化することを強く願っております。
旧統一教会問題についてでございます。
世界平和統一家庭連合、いわゆる旧統一教会の問題については、悪質な献金など社会的に様々な問題が指摘されており、悪質な献金等の被害者救済と再発防止は重要な課題であると認識しております。
同法人に対する宗教法人法上の解散命令については、文部科学省において、十一月二十二日に同法人に対する質問権が行使され、十二月九日を期限に報告を求めることとされていると承知しております。
同法人に対する解散命令の請求の可否については、宗教法人法上、同法人を所轄する文部科学省において判断されるべき事項であると考えております。
また、十二月一日に閣議決定された、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案、いわゆる被害者救済法案については、いわゆる旧統一教会の問題を受け、悪質な献金等の被害者の救済を図るため、寄附の勧誘に関する規制や寄附の意思表示の取消し等について規定していると承知しております。
同法案については、現在、国会において、法人が寄附を勧誘する際の配慮義務規定の在り方など様々な論点について議論がなされているところであり、引き続き議論の動向を注視してまいりたいと考えております。

(男女共同参画局長)
霊感商法に関する相談件数についてでございます。
県消費生活センターへの霊感商法や開運商法に関する相談件数は、令和三年度は二件、令和四年度は十月末現在で五件でございます。

(堀之内)
我が国の安全保障問題につきましては、さきの九月議会でも、公明党の代表質問及び我が党の寺田議員の答弁の中にも、「我が国の安全保障環境が一段と厳しさを増してきている。我が国の安全と平和を守るためには、必要最小限の防衛力を整備するとともに、アメリカとの安全保障体制により我が国の安全を確保することは、基本的に必要なことである」、そして、「政府においては、外交努力による平和的な解決が図られるよう努めていただきたい」というような答弁も知事はされておられますが、今月二日に、自民党と公明党は、自衛目的で他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力を保有することに合意いたしました。政府は、保有を明記した国家安全保障戦略などを今月中旬に閣議決定する予定でありますが、反撃能力をめぐっては、歴代政権は、自衛の範囲とする一方、また、保有決定は戦後の安全保障政策の基本的転換となり、能力発動のタイミングや攻撃対象は明示されず、地域の緊張を強く招く懸念が否定できない等々ありますが、国民はもちろん、県民の命、財産を守る知事の立場上、どのような見解をお持ちであるのか、御所見を伺いいたします。

(知事)
いわゆる反撃能力については、国においては、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかどうかという問題意識の下で、いわゆる反撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討するとしております。
防衛・安全保障政策は国の専管事項であり、その一義的な判断主体である国において、引き続き、国会等の場で幅広い議論が行われることが重要であると考えております。
県としては、国は、防衛・安全保障政策を進めるに当たっては、住民の間に不安や懸念を生じることがないよう十分な説明責任を果たす必要があると考えております。

(堀之内)
先般防衛省は、九月二十九日、太平洋を運航していたロシア海軍と中国海軍の艦艇合わせて七隻が、本県の大隅海峡を通過して東シナ海に入り、隊列二列を組んで運航したことを発表いたしております。
我が国の安全保障に関しては、ウクライナ侵攻、台湾有事、尖閣諸島の状況並びに北方領土返還に関わる答弁を賜りました。
我が国を取り巻く安全保障環境は一段と厳しさを増してきておりますが、我が国の安全と平和を守るためには、まず何といっても平和外交が優先し、その認識を共有することが大事だと思っております。平和を守り抜くためには、ある程度の防衛力を有し、抑止力を発揮しなければ、我が国の平和な生活は望めないと考える次第でございます。少しでもお互いに認識を共有することが大事であると考えております。
旧統一教会の問題に関しましては、信教の自由は、世界人権宣言第十八条及び日本国憲法第二十条でこれを保障されていることは、皆さん御承知のとおりでございますが、私自身、これを重んじることは大切なことであると思います。
ただ、旧統一教会の在り方については懸念される事案が少なからずございます。諸問題の解決に向け、しっかりと今国会の中でも議論が尽くされると思っておりますが、また、我が県においても、霊感商法並びに悪質な高額献金等への是正を強く望むものでございます。
次に、大隅半島の道路整備促進についてお伺いいたします。
本年八月に大隅総合開発期成会が知事に対し、大隅地域の振興に関する要望書を提出いたしました。三十四項目にわたって要望がなされたうち、大隅縦貫道につきましては吾平地区の改良が、また、国道二百二十号につきましては、連続雨量が二百ミリメートルに達すると通行止めとなり孤立していた牛根境地区の防災事業がようやく動き出しました。まだこれらはほんの一部にすぎません。
今回は、要望が上がっている中から、四つの項目について取り上げてまいります。
まず、錦江湾横断交通ネットワークについてお尋ねいたします。
このテーマは、十年以上にわたって何度も何度も取り上げさせてもらっておりますので、またかと思われる向きもあるでしょう。
平成十二年八月に鹿屋経済同友クラブが行政機関などと研修会を開催したのをきっかけに、平成十六年七月に桜島架橋推進協議会が発足し、十八年以上が経過いたしております。平成十五年から県政に参画した私の県議会議員としての人生は、桜島架橋と共にありと言っても過言ではございません。
伊藤知事時代の平成二十一年度から二十四年度の四年間に様々な角度から調査を行い、鹿児島─桜島間のトンネルで、国直轄事業または合併施行方式においてPFI方式を導入した場合に、県として相対的に優位であるとの結論を導き、トンネルの整備に当たっては、入念な地質調査等に基づく設計・施工を行うこと、トンネル内の通行について十分な安全性を確保すること、関係機関との十分な協議・調整が図られることが今後の検討課題であるとされました。
ところが、三反園知事に替わり、鹿児島市の意向を重視され、話が膠着状態になりました。最後の頃の一年の間にようやく腰を上げられ、令和二年度の一般会計当初予算案で千八十八万円の調査費用が予算化されて、これで少しは進むかなと思い、期待を抱きましたが、今度は塩田知事への政権交代が起こりました。
知事就任から一年後の昨年六月に、かごしま新広域道路交通ビジョン及び計画が策定され、錦江湾横断道路は、将来、高規格道路もしくは一般広域道路としての役割が期待されるが、路線の起終点を含め、具体的なルートが決まっていない構想道路の一つと位置づけられました。
ただ、本会議の議事録を見たところ、錦江湾横断道路に関して塩田知事が言及された記録が見当たりません。
錦江湾横断道路は、交通の利便性向上や生活圏の拡大、観光資源としての活用のみならず、激甚化傾向にある自然災害への対応や、救急医療体制の確保など、大隅半島に暮らす人々の命と暮らしを支える大動脈であり、個人的には天草架橋より優先度は高いのではないかと考える一人でございます。
そこでまず、令和二年度に調査費が計上されてから現在に至るまで、どのような検討がなされて、現状ではどのような取扱いとなっているのか、お示しいただきたいと思います。
また、錦江湾横断道路に関して、知事のお考えを御本人の言葉でお聞かせいただければ幸いでございます。
次に、大隅横断道路、仮称高隈トンネルについてお尋ねいたします。
かごしま新広域道路交通ビジョン策定に当たり寄せられた、大隅横断道路の広域ネットワークへの位置づけが必要との意見に対し、鹿屋市と垂水市とを結ぶ道路ネットワークは国道二百二十号を位置づけており、策定されたビジョンに大隅横断道路は位置づけていないとの県の考えが示されました。
しかしながら、この構想と錦江湾横断道路が実現しますと、県都鹿児島市と国際バルク戦略港湾である志布志港が一時間で結ばれる。現状の海上交通を利用した場合でも、現状の交通網よりは確実に短時間で行き来できますから、単に鹿屋と垂水を最短距離でつなぐだけの道路ではないことは明白であり、大隅半島の一体的な発展、志布志港の利用価値向上などの観点からも、大隅横断道路は広域ネットワークの中に位置づけられるべきものであると考えております。
大隅総合開発期成会では、十四年前から最重要課題として位置づけ、この事業の新規採択を図ることを要望しておりますが、私が平成三十年九月議会で取り上げた後、検討につながるような議論に上ることなく四年が過ぎております。
かごしま新広域道路交通計画策定に当たってのパブリックコメントで、大隅横断道路を広域道路ネットワークに位置づけられるべきとの意見が多数寄せられたと認識いたしておりますが、大隅横断道路をなぜこのネットワークの中に位置づけされなかったのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
広域道路ネットワークに位置づけて、実現に向けた第一歩を踏み出すべきだと考えますが、県の考えをお示しいただきたいと思います。
次に、県道七十一号垂水南之郷線についてお尋ねいたします。
垂水南之郷線では、高峠工区の整備が完了し、四年近く経過いたしました。垂水市大野原地区の約一・三キロメートルについて、昨年度より大野原工区としてようやく着手され、本年度は三千万円余りの予算が調査費として計上されたと認識いたしております。この区間には、近くに地元住民が古くから信仰の対象としている陰陽石もあり、参拝者が集まるところでもございます。
そこで、整備に着手した大野原工区における現在の取組状況と今後の予定についてお示しいただきたいと思います。
次に、国道五百四号の整備についてお尋ねいたします。
国道五百四号は、鹿児島空港へのアクセス道路として大隅半島を縦断する重要な幹線道路であることは、皆様御承知のとおりでございます。
六項目が要望書に上がっておりますが、鹿屋市に関する三項目、鹿屋市吉ヶ別府地区の早期完成、輝北町市成地区の歩道整備、祓川バイパスの整備について、それぞれ整備のスケジュールなど見通しをお示しいただきたいと思います。
次に、避難行動要支援者の個別避難計画作成についてお伺いいたします。
昨年五月、災害対策基本法が改正されました。この改正により、自ら避難することが困難な避難行動要支援者ごとの個別避難計画を作成するよう、市町村長は努めなければならないと取組指針に定められました。
現在までの一年半余り、県内各市町村の状況について、一般質問や常任委員会でも取り上げられており、県当局からも説明がなされておりますが、その内容を整理いたしますと、まず、全体計画と要支援者名簿の作成は全市町村が作成済み、個別避難計画については全部または一部が作成済みとのことであります。
しかしながら、名簿作成が終わっているとはいうものの、在宅で介護を受けている方の把握については、声が上がらない限り分からず、民生委員などから情報を集め、取り残さないようにしているという答弁がされております。
在宅療養者の中には、ALSをはじめとした難病患者などがいらっしゃいますが、こうした方々は各保健所で情報を把握しているのではないかと考えます。
また、個別避難計画については、全ての要支援者について作成が終わっているということではないようです。
作成された避難計画についても、計画を基にした避難訓練や検証がされておらず、在宅療養者を家族が自宅から避難所に移動させるのに、その経路に問題があっても計画の修正が行われていなかったり、療養に必要な設備がない場所が避難先になっていたりするようなケースもあったようでございます。
三月議会の一般質問に対しまして危機管理防災局長は、「市町村における個別避難計画作成の取組を支援するとともに、訓練の実施等により計画の実効性の向上に努めてまいりたい」との答弁がなされております。
そこで一点目に、要支援者の名簿作成について、市町村の担当者や社協、民生委員だけでなく、県の関係機関も関与して、災害避難時の支援を必要とする方を完全に網羅した名簿を作成したほうがいいのではないかと思いますが、県の考えをお示しいただきたいと思います。
二点目に、個別避難計画の作成について、県全体の要支援者数に対し、どれくらい作成がなされているのか、把握されているようでありましたらお示しいただきたいと思います。
三点目に、作成された避難計画に基づいた避難訓練の実施状況と、訓練で見えてきた課題など、お分かりでありましたらお示しいただきたいと思います。
四点目に、個別避難計画の作成は、さきに申し上げましたとおり、一部の要支援者にとどまっているのではないかと思いますが、作成率の向上に当たり課題となっていること、そして、実効性のある計画の作成に向けて、県として市町村に対しどのように支援・助言をされていかれるのか、お示しいただきたいと思います。
次に、コロナ禍における経済振興についてお伺いいたします。
一昨年一月十六日に、日本国内で最初の新型コロナウイルス感染症陽性者が報告されてから、間もなく三年が経過しようといたしております。
コロナ禍という闇からいつ抜け出せるのか、先の見通せない中でございますが、十月十一日から全国に対象が拡大された旅行支援の効果が出ているようであります。旅行支援策対象期間前の九月から十月にかけて三連休が三度ございました。この頃から少人数の旅行者が増えており、コロナ禍前ほどではないにしても観光地にはにぎわいが戻りつつあるように感じられます。
ところが、業態別では、テイクアウトやデリバリーが堅調で店内飲食も戻ったファストフードは一八・〇%増加しているものの、ファミリーレストランは三・三%、ディナーレストランは六・六%、喫茶店は一〇・〇%減少、居酒屋は三六・六%減少と三年前の三分の二以下に落ち込んでおります。
どの業態にも共通しているのは、夕方以降の来客が戻っていない、夜間の外食はまだ避けられているということで、特に、夕方から夜間がメインの営業時間である居酒屋が最もダメージを引きずっているようであります。
一般社団法人日本フードサービス協会によりますと、少人数の個人客を中心に回復基調は続くものの、二次会の需要や法人などの宴会需要の戻りが鈍いということであります。
鳥取県米子市では、九月二十二日から十一月二十一日までの二か月間、二次会に特化し、一定の条件を満たした飲食について、今夜はもう一軒!二次会利用促進応援キャンペーンと銘打って、飲食店及びタクシー、運転代行のセット利用割引キャンペーンを実施されたそうであります。全国的にも珍しい取組ですが、飲食店とタクシー業界などへの支援策としてはこういう方法も有効なのではないかと考えます。
また、知事はこれまで、指宿市や薩摩川内市、霧島市などの県内各地の飲食店を一人で訪ねられ、その苦境をつぶさに見て、切実な声に耳を傾けてこられたとお聞きしております。私たち議員よりも詳しく正確に現状を認識されているのではないかと思います。
そこでまず、飲食店の現状について知事はどのように見ておられるのか、所感などをお聞かせいただければと思っております。
また、飲食業の売上げ回復に向けて、県としてあるいは市町村と連携して何かしらの支援策を講じる考えはないのか、お示しいただきたいと思います。

(知事)
錦江湾横断交通ネットワークについてでございます。
錦江湾横断交通ネットワークについては、大隅地域の方々を中心にその実現を求める声があり、これまで様々な団体から要望を頂いております。
令和二年度には、道路の状況やその利用実態などを整理し、交通量の推計等を行う交通状況調査を実施する予定でありましたが、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大により、通常の交通状況の把握が困難な状況となったことから、調査の実施を見送ったところであります。
令和三年度には、同ネットワークの整備により、交流人口の拡大、物流の利便性の向上、大隅半島からの救急搬送時間の短縮等が期待されることから、かごしま新広域道路交通ビジョン及び計画において、将来、高規格道路もしくは一般広域道路としての役割が期待されるものの、現時点で、路線の起点や終点を含め、具体のルートなどが決まっていない道路である構想路線として位置づけたところであります。
私としては、新型コロナウイルス感染症による生活様式の変化等を考慮しながら、半島間の往来の程度、経済的効果、事業の採算性、国の協力方針、関係自治体や県民の意向、県議会での御論議等を踏まえ、引き続き、総合的に検討していく必要があると考えております。
飲食店の現状及び売上げ回復に向けた支援策についてでございます。
飲食店の関係者からは、個人客を中心に客足が戻りつつあり、業界全体としては回復傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中で、一部の飲食店では厳しい状況が続いていると聞いております。
これまで県では、飲食店における需要喚起を図るため、ぐりぶークーポンの発行や、市町村のプレミアム商品券発行等への支援のほか、利用者が安心して飲食できる第三者認証店が行う感染防止対策への支援及びその利用促進を行っているところであります。
また、飲食業の売上げ回復に向けては、観光客による飲食店の利用も重要であることから、今こそ鹿児島の旅により旅行需要を喚起するとともに、飲食店でも利用できる商品クーポンを配布しております。
加えて、今後、インバウンドの本格的な回復に向けて戦略的・効果的な誘客を図ることで、より多くの観光消費が飲食店のさらなる需要回復にもつながるものと期待しております。

(土木部長兼本港区まちづくり総括監)
大隅半島の道路交通整備についてのお尋ねのうち、大隅半島を横断する道路構想についての県の認識等についてでございます。
大隅半島を垂水から鹿屋串良ジャンクションに向けて横断する道路構想につきましては、これまでも地元から整備の要望があり、また、昨年度実施したかごしま新広域道路交通計画の策定に伴うパブリックコメントにおいては、同構想に関するコメントが十六件寄せられたところでございます。
かごしま新広域道路交通計画における広域道路ネットワークについて、国から示された考え方や要件等に基づき検討しましたところ、同道路構想は、並行する国道二百二十号を一般広域道路として位置づけていることもあり、広域道路ネットワークとして位置づけられなかったところでございます。
現在、大隅地域においては、東九州自動車道や大隅縦貫道、都城志布志道路など本県の骨格となる道路をはじめ、国道二百二十号や国道五百四号等において整備を進めているところでございます。
御要望の構想につきましては、標高千メートルを超える高隈山系を貫くトンネルの整備が必要となるなど、大規模な事業となり、多額の事業費が見込まれることから、多くの検討すべき課題があると考えているところでございます。
続きまして、県道垂水南之郷線の整備状況等についてでございます。
県道垂水南之郷線は、垂水市の国道二百二十号を基点といたしまして、鹿屋市の国道五百四号を経由し、曽於市の国道二百二十二号に至る幹線道路でございます。
また、垂水市街地から東九州自動車道の曽於弥五郎インターチェンジへのアクセス道路として重要な道路であり、これまで垂水市高峠地区の整備を終えるなど、おおむね二車線で改良済みとなっております。
本路線のうち、垂水市大野原地区においては、幅員が狭く、線形不良で見通しの悪い約一・三キロメートルの区間について、昨年度から大野原工期として事業に着手し、現在、測量設計を進めているところであります。
本工区につきましては、地形が急峻で高低差があり、道路の構造検討が必要なことや、道路の周辺に国有林があり関係機関との調整が必要なことなどの課題がありますが、地元の御理解を頂きながら、着実な整備に努めてまいります。
続きまして、国道五百四号の鹿屋市内における整備状況等についてでございます。
国道五百四号は、大隅地域から空港へのアクセス道路として重要な道路であり、これまで福山拡幅や百引拡幅など、計画的に整備を進めてきたところでございます。
鹿屋市内においては、現在、三か所の整備を行っております。
このうち祓川地区につきましては、歩道が狭く見通しの悪いカーブが連続することから、本年度から祓川バイパスとして事業に着手し、現在、測量設計を実施しており、今後、用地買収を進めることとしております。
吉ヶ別府地区の七百メートル区間につきましては、急カーブが連続することから、平成二十五年度から吉ヶ別府拡幅として事業に着手し、現在、改良工事を行っており、引き続き、改良工事等を進めることとしております。
また、輝北町の市成地区の歩道整備につきましては、令和元年度に事業着手し、現在、来年度の工事着手に向け用地買収を進めているところでございます。
今後とも本路線の着実な整備に努めてまいります。

(危機管理防災局長)
避難行動要支援者の個別避難計画作成に関する御質問のうち、まず、避難行動要支援者の名簿作成に係る県の考えについてでございます。
避難行動要支援者名簿につきましては、災害対策基本法に基づき、市町村に作成が義務づけられ、本県では、全市町村が作成済みとなってはおりますが、県としましては、避難行動要支援者の心身の状況や生活実態が時間経過とともに変化し得るものであることなどから、定期的に実態を把握し、更新することが重要であると考えております。
国の指針におきまして、市町村が名簿を作成するに当たりましては、市町村の関係部署で把握している要介護高齢者や障害者等の情報を集約するよう努めるとともに、市町村で把握していない情報の取得が必要であると認められるときは、県など関係機関から積極的に必要な情報の取得に努めることとされております。
県といたしましても、関係部署で把握している情報を積極的に提供するなど、市町村と連携して、実態に即した名簿が作成されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県全体の要支援者数に対する個別避難計画の作成状況についてでございます。
本年一月一日現在、県全体の避難行動要支援者名簿に記載のある要支援者の合計は九万五千八百四十三人で、そのうち、個別避難計画を作成済みの方は二万四千六百一人であり、作成率は、約二六%となっているところであります。
避難訓練の実施状況と訓練で見えてきた課題についてでございます。
市町村と共催で実施する県総合防災訓練等におきましては、避難支援者、消防団、民生委員等が連携して、避難行動要支援者の避難を支援する訓練も実施してはおりますが、要支援者本人の参加は限られている状況であります。
今後、要支援者の身体などの状況等に応じまして、要支援者本人や要支援者の代役等の参加による訓練を実施し、その課題等を市町村と情報共有するなど、実効性のある個別避難計画の作成に活用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
市町村に対する県からの支援・助言についてでございます。
市町村におきまして個別避難計画の作成を進めるには、避難支援の手法を個別に検討する必要があることから、計画作成に携わる人材や避難支援者の確保などが課題となっております。
このため、福祉専門職など多職種が協働して計画作成を推進する組織づくりや避難支援者の登録制度など、国のモデル事業による先進事例を紹介するとともに、市町村を個別に訪問し、計画作成に係る課題について助言を行うなど、地域の特性や実情を踏まえた計画が作成されるよう取り組んでいるところです。
また、毎年度、県内二地区を選定しまして、専門知識を有するNPO法人に委託して、個別避難計画の作成にも資する地区ごとの防災計画の作成を支援しているところでございます。
県としましては、引き続き、市町村に対して情報提供や助言等を行い、個別避難計画の作成を支援してまいりたいと考えております。

(堀之内)
いろいろ答弁を頂きましたけれども、大隅横断道路、仮称高隈トンネルにつきましては、昭和五十年代に県のほうで、必要があるということでトンネルの図面が作成されたとお聞きいたしておりますが、その図面があるのかないのかお答えいただきたいと思います。

(土木部長兼本港区まちづくり総括監)
申し訳ございません。現時点で承知しておりません。確認しておりませんのでお答えができないところでございます。

(堀之内)
今、再質問の部分では、ぜひ、あるのかないのかしっかり調べていただきたいと思っております。
錦江湾横断交通ネットワークにつきましては、二代前の知事時代から議論がなされ、鹿屋経済同友クラブを中心に十五万人以上の署名活動がなされ、県に提出されたこともございます。ぜひとも実現に向けた行動を示していただきたいと思います。
先月、桜島の降灰対策事業の要望で、自民党本部に要望活動をした折に、かねてから非常に慎重で先の見通しのつかない問題には言及されない地元の森山代議士が、錦江湾横断交通ネットワークについては、そろそろ高規格道路として位置づけられた中で、早期完成に向けて県もしっかりと対応していただきたい。そして、そこに沈埋方式のトンネルでPFI方式、民間資金活用であれば県の負担もないことを明確にお話しされ、錦江湾横断交通ネットワークについて初めて言明されました。
大隅横断道路につきましては、冒頭でお話ししたとおり、国際バルク戦略港の志布志港と県都鹿児島市とを最短距離で結ぶ壮大な計画でございます。前任の知事も選挙公約にしっかりと織り込んでいただき、奄美大島の網野子トンネル、北薩の紫尾トンネルともども完成した折には、次は高隈トンネルだねと言われたのが耳の底に残っております。ぜひとも実現に向けた位置づけを一日も早く望むところでございます。
次に、避難行動要支援者の個別避難計画作成につきましては、自治体によってその取組に濃淡があるのは、あらゆる政策課題について言えることだとは思いますが、災害時の避難は、人一人の命に直結する極めて重要な課題であると考えます。少なくとも、鹿児島県に住む対象者が、住む地域によって不平等感を感じることがないように、各市町村と一体となって取り組まれることを切にお願いいたします。
コロナ禍における経済振興につきましては、新型コロナの感染拡大後に就任された知事が、この二年半余りの間、何かと制約が多い中、自ら現場に足を運び、情報収集等に努めておられることに対し、心から敬意を表するものでございますが、ご自身の目で見て、耳で聞いたことをぜひ政策に生かしていただきたいと期待いたします。
時間が少し残りましたので、垂水高校の振興に向けた取組を紹介させていただきたいと思います。
少しうれしい報告がございます。
少子化の影響で県内のほとんどの高校は、公立・私立の区別なく生徒の確保に知恵をめぐらせ、あの手この手の対策を講じております。垂水高校も御多分に漏れず、志願者が定員を下回る定員割れの状態が長い間続いております。
垂水高校の存続と振興・発展を支援することを目的に、垂水市や議会、同窓会、PTAなどで構成される垂水高校振興対策協議会が設置されております。以来、歴代の校長先生や行政、地域が一丸となって振興対策に取り組んでまいりましたが、減少傾向にはなかなか歯止めが利きませんでした。しかしながら、来年度の進路希望調査では、僅かでありますが、八人ほど前年より希望者が増えている希望の光が差し込んできております。これもひとえに関係各位の取組のたまものであり、敬意を表したいと思います。
全てを開陳するわけにはいきませんが、取組の一部を紹介させていただきます。
交通費に係る部分では、垂水市外からの通学生に対する交通費の全額補助、路線バスの運行便数減に伴う対応策としてジャンボタクシーの運行、バスの定期券購入に対する補助を行っており、また、学習面においては、各種検定試験や模擬試験受験費用、予備校講座の受講料を全額補助しております。
これらに加え、情報発信という面では、高校説明会に加え、地元中学校との中高連絡会を行い、中学生に対しては一日体験入学に、高校教師による出前授業や部活指導、垂水中央中学校生徒会との交流会を行っております。
また、垂水高校振興支援計画のPR・広報活動として計画された垂高フリーマガジン作っちゃいますプロジェクトから、垂水高校愛という魂を込めて平成二十四年度から発行している「タルタマ」というフリーマガジンを通じて、母校の魅力を一生懸命発信しようと生徒が頑張っております。
こうした取組が三年後、五年後、実を結び、垂水高校の存続につながることを期待いたしております。
最後に、一つだけ要望として、生徒のバイク通学を許可するように要望させていただきまして、今回の質問を締めさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。